最近のSNS事情

チート1)、アカバン2)、クレクレ3)、代行屋4)・・・。若い人なら知っているのかもしれませんが、私は初めて聞く言葉ばかりでした。実はこれは、先日参加した講演会5)で聞いた言葉です。演題は「子どもを取り巻くSNSトラブルの現状と対処法について」、講師はNIT情報技術推進ネットワーク株式会社代表取締役篠原嘉一氏。最新のSNS事情を豊富な具体例を挙げながらテンポよく話される講師にぐいぐい引き込まれました。まあ、SNSに弱い私は話の半分くらいしか理解できませんでしたが。

冒頭に挙げた言葉は、オンライン上での「法的に問題のある行為やそれに対する処置」です。驚いたことに、これらに関わる小学3年生以下の子が急増しているそうです。トラブルの低年齢化は加速度を増しています。少し前、子どもがゲームに多額の課金をすることが問題になりましたが、課金の場合、最終的に保護者の口座から使ったお金が引き落とされるので、比較的早い段階で発覚します。しかし、最近では子どもたちがインターネットやSNSを使って「自力でお金を集める」ことができるのだそうです(これも違法行為です)。自分のスマホを持ち、自分の部屋(個室)があって自分でお金を集められるとなると、保護者もなかなか気づくことができないでしょう。子どもがゲームで使うお金をSNS上で提供する人は、それが違法行為であることを知っています。そして、提供した金銭が一定の額に達すると突然保護者に返金を要求します。しかも「子どもさんが違法行為をしていますよ」と脅して高額な金銭を要求することもあるそうです。

こういうことが起きるのは、子どもたちがリアル(現実社会)とバーチャル(仮想空間)の区別がつきにくくなっているからではないかと思います。講師の篠原氏も、近年スマホ決済が増えて、店舗でお釣りを受け取るという体験をしたことがない子どもが増えていると指摘されていました。現金には確かな手触りがあります。手にしたお金を使えば減っていくのが目で見えます。そうしたリアルな体験によってどのくらいのお金でどんなの物が手に入るのかを実感することができます。しかし、ネットのバーチャル空間では画面の数字が変化するだけです。そこには、紙幣の手触りも硬貨の重みもありません。

今、バーチャルの世界はどんどん広がっています。その流れは、もはや止めることはできないところまできています。今回の講演は青少年補導委員対象の講演でしたが、子どもがこれだけバーチャルな世界に生きている現状にあっては、リアルな世界で行っている日々の挨拶運動や補導活動にどれほどの意味があるのだろうさえ思ってしまいます。

でも、講師の篠原先生は最後にこう話されました。

「結局、子どもを守るために一番大切なのはアナログな人間関係なのです。子どもは、リアルな関係で愛情を感じた相手を裏切るようなことはしません。親子関係が良好であれば親を裏切ってはいけないと思うし、毎朝「おはよう」と挨拶してくれる人が自分のことを気にしてくれると感じれば、そういう人を裏切ってはいけないと思うようになります。」

 大人が常に、子どもにとって「信頼」に値するリアルな存在であるかどうかを意識することは、現状に対する特効薬にはならないとしても、必ず子どもに一定の「歯止め」をかける力になると思います。

1)コンピューターゲームで本来と違う動きをさせる違法行為。               2)オンラインのサービスで、運営者からユーザーアカウントを削除され利用を停止されること 3)オンライン上で金銭やそれに相当するものを他人からもらう違法行為。          4)ゲームのアカウントを渡してレベルを上げること。(いずれも、講演での説明に若干の加筆をしたもの。)                                   5)令和4年度 県青少年補導委員大会・研修会(令和4年10月26日)

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