きょろきょろする

今回は、県の教育委員会にいたときに上司や先輩から教えてもらったことの中から、学校現場でも役に立ちそうなものをいくつか紹介します。

1 最初はいつもきょろきょろしていなさい

 仕事に慣れていないうちは、絶えず周囲を見なさいという意味です。他の人が何をしているのかを視野に入れていないと、自分の課(学校なら学年など)の重要な課題を見落としてしまいます。慣れないうちはどうしても自分の仕事のことばかり気になります。でも組織の一員として力を出すためには、慣れていないときほど周りをきょろきょろと見て情報を集める努力が必要だということです。

 上司が自分以外の課員に話をしているときも耳だけは、その話に傾けておくようにも言われました。そのときは関係なくてもどこかで役に立つこともあります。ときどき、その上司が話の途中で突然「あなたはどう思う?」と意見を求めてくることがあります。そのときに「聞いていませんでした」ではだめだと言われました。所謂「アンテナを高くせよ」という意味です。それは、広く情報を集める効果を上げるだけでなく、自分の仕事に必要以上に「根を詰めない」方策でもあるのです。

2 仕事は7割で上に回せ(皿回しの理論)

 指導主事は一人でいくつもの仕事を任されます。多いときは大小合わせて10件くらいの仕事を抱えることもあります。そんなときに、一つ終わってから次の仕事へ移ろうなんて考えていると最後の方に回した仕事が進まず、気がつけば締切が過ぎていたということもあります。複数の仕事を抱えているときは、「皿回し」の要領で、どの皿(仕事)も少しずつ回していくのが効果的です。そうしておけば、どの仕事もある程度進んだ状態になり、大きなミスを防ぐことができます。また、違う仕事をすることで気分転換になり、効率があがることもよくあります。

一つの仕事に完璧を求めすぎると、行き詰まりやすくなります。例えば、研究授業のための指導案の出来具合は、7割くらいで止め、学年部の検討会に出せばいいのです。その方が、多くの意見を吸収しやすくなります。そして、結果的にその方が指導案作りの時間が少なくて済み、しかも良い授業ができます。特に、苦手な仕事ほど早い段階で先輩に相談したり、会議に提案した方が効率的でミスも減ります。

3 上の人に相談するときは、自分の案を3つ考えてから行く。

 これはかなり難しい。学校で言いえば10年くらいの経験があって初めてできることだと思います。「3つ」の内訳は以下の通り。一つは自分の一押しの案。二つ目が、一押しの案が通らなかったときの妥協案(ここまでは譲れるという腹案をもっておく)。三つ目は絶対にやりたくない(してはならないと思う)案。自分の一押しの案を実現しやすくするために、根拠となる資料を用意しておくとさらに効果があります。校長の性格や反応の予測ができるとさらにいいでしょう。なかには、敢えて不十分な案を持っていき、上司にそれを指摘させることで上司が気分よく自分の案を受け容れてくれるように事を運ぶ持っていく強者もいました(学校現場ではあまりお勧めできませんが)。

4 まず、ゴールを決め、そこから逆算して今日までのラフスケッチを描く。

 まず、その仕事をいつまでに仕上げないといけないのかというゴールを決めます。そして、仕上げるために必要なことをランダムに書き出します。その後、時系列にやることを並べます(私はよくエクセルを使って並び替えていました)。大雑把なもの(ラフスケッチ)で十分です。すると、それぞれにどのくらい時間がかけられるかが見えてきて、最初の取りかかりをいつにすべきかが見えてきます。逆にまず何をやろうかとスタートから考え始めると、自分でも進捗状況と締め切りのバランスが見えなくなって焦り、慌てた結果、大きなミスにつながることもあります。

(作品No.38HB)

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