最近若い人を中心に、あたかも世の中の動きと逆行するような現象が起きているそうです。2022年12月19日付けのネットニュース(テレ朝news)で次のようなニュースが報じられました。
「最近、企業などに勤める若手社員が「仕事がゆるすぎる」「職場がホワイトすぎる」という理由で、退職するケースが増えている」というのです。同ニュースによれば、若手社員4分の1以上が上司などから叱られた経験がないのだそうです。
上司からすると、これだけパワハラやブラックな職場が問題になっているのですから、できるだけ優しく接するとか、褒めて育てようとするのも当然だと思います。
また、部下が早々に辞めてしまえば、自分の管理能力を問われることにもなりかねません。上司や先輩がかなり、気を遣った結果「ホワイト」な職場になったのでしょう。
でも、このニュースが本当であるなら、そうした気遣いが仇になったことになります。
どうも、若い人は意外と何も言われないと不安になるようです。世の中は転職ブームです。終身雇用が期待できなくなった現代では、今の会社がずっと自分を雇ってくれるとは限りません。また、今の仕事が本当に自分に合っているかどうかもわかりません。
そう考えると、いずれ迎える転職のときのために、今いる会社で身につけられるスキルやノウハウをたくさん身につけておきたい、それがキャリアアップにつながると思うわけです。これは、自分を成長させたいという前向きな姿勢です。とても健全な発想だと思います。
その点、あまりにホワイトな職場は、叱られて嫌な思いをしたり、パワハラの被害を受けたりすることは少ないでしょう。その代わり、自分が成長していることも実感しにくくなります。このままこの会社にいたら、ほとんど成長できないかもしれないという思いが、退職につながるのでしょう。
この記事は、社会人に関する内容ですが、子どもたちにも共通するところもあると思います。子どもたちも自分が今日、何ができるようになったか、何を知ることができたかを実感したいと思っています。優しい先生は、「不適切なかかわり」をする先生よりははるかにいいでしょうが、できること、わかることを増やしてくれない先生は物足りないと感じるに違いありません。
子どもが家に帰って、「今日はこんなことができるようになったよ」と嬉々として、家の人に報告するような授業ができればいいなあと思います。
いずれにしても、成長する喜びを得たいと願うのは、大人も子どもも同じなんだと思うと、何だかうれしくなりました。
(作品No.191RB)